昨日は
〔ドル円/為替〕日銀の利上げはもうすぐそこ…27年ぶりの株高でゼロ金利継続なわけがない
について書いてみたが、
今日は、そもそも何故、日銀が利上げ〔ゼロ金利政策解除〕をしなくてはいけないかについて
考えてみようと思う。
利上げの理由なんて、知れたこと
それは、世間一般には
金融正常化のためということになっているのだが、
しかし、それは表向きのことではないかと俺は思う。
現在、世界を揺るがしている問題といえば
米中貿易戦争であるが、
その本質は、すくなくとも表面上は、米国の貿易赤字にある
米国大統領はことあるごとに、貿易不均衡の是正を叫んでいる。
一般的には、貿易不均衡の改善における安易な選択肢は、通貨安である。
だから、リーマンショック以降、
先進各国はこぞって金融緩和を行い、自国の通貨を安くしようと懸命だった。
通貨安競争とまで言われたほどだ。
米国とてそれは例外ではないのだから
トランプ大統領は、常に為替を意識してきただろう。
これまでも、
為替操作国の認定をめぐる発言や
円に関しても、何度か円安けん制発言をしてきたし
最近では、FRBによる利上げは好ましくないとまで発言している。
これらは、明らかに、すべてドル安誘導政策である。
ここでもし、俺が米国大統領だったら、
どうするだろう。
日本を為替操作国に認定する??
しないだろうね。
米国大統領である俺は、
たとえ、中国やロシアに勝てると思っても、日本には勝てると思えない。
前回の戦争でも、原子爆弾まで使わなくてはいけなくなってしまった、あの国はヤバすぎる。
負けるとまでは思わなくても
今のところ従順な日本を
わざわざ敵に回すようなことはできるだけしたくはない。
そんな中で、俺がするとしたら
日米会談の時に、安倍総理に、できるだけ早期に利上げをするように即するだろうね。
日本が利上げをすれば、
たとえ、経済の本質には鈍感でも
名目金利にだけは、やたら敏感なメディアが騒ぐから円高になるだろう。
ドルは基軸通貨であるが
その基軸通貨のドルが最強通貨の円に押されるということになれば
金融市場に与えるインパクトは大きい。
他通貨ペアに関しても、ドル安を誘発することになるはずだ。
そもそも何故日本は、いつまでもゼロ金利を解除しないのだろか。
それは、一般にはまだまだ景気が悪いからということになっている。
バブル期ほどに株が高いのに景気が悪い??
この疑問に対しては、企業は景気が良いが、庶民は景気が悪いのだと説明されている。
俺がこの説明を信じているわけじゃないが、
もしもこの説明が正しければ
企業に対しては、ゼロ金利を解除しても問題はないということだろう。
そして、庶民にとって、金利が高くて困るといえば
住宅ローンくらいのものだろうから、金利上昇分についてはローン減税を拡充すれば済むことになるわな。
むしろ、日本の家計の金融資産は2000兆円?くらいはあり
そのおよそ半分は預貯金であるから
金利が上げれば、庶民は嬉しいのではないかとさえ思う。
以上要するに
「企業は景気が良いが、庶民は景気が悪い」ことは
その真偽はともかくとして
ゼロ金利維持の理由としてはふさわしくないということだ。
俺は、日銀が利上げをできない真の理由は
ゼロ金利を解除したら、「銀行」が死ぬからだと思っている。
えっ、逆じゃなのか
金利は銀行の収益源だから、金利が上がることで銀行はハッピーなんじゃないか??
確かに、金利は銀行の収益源である、それは事実だ。
しかし、金利は銀行の損失源でもあり、そちらの方が深刻なのである。
こちらは控えめというか、虫のいい試算に過ぎないと思う。
何故かと言えば、現在の銀行に、庶民から集めた預金に対して利息を支払う能力がそもそもないからである。1000兆円の預貯金に1%の利息を支払ったら、年間10兆円。それほどに余った金が銀行の金庫にあるのだろうか。金利を上げれば、ただでさえ少ない借り手が減ってしまうので、収入が増える見込みなんてほとんどまったくないと思う。
こちらの記事では、日銀の金融政策のために日銀当座にお金を集めて金利を支払っていると書かれているが。俺の見るところ、真実は逆で、銀行を死なせないための人工呼吸器として、日銀当座預金に利息をつけてあげているのである。本来であれば、法定準備金以上の部分について利息をつける理由がない。当座預金は無利息が常識であることは言うまでもない。
日銀にしても、確かに将来の天下り先を失いたくはないにしても
いつまでもこのままで良いとは考えていないと思う。
安倍総理としてはどうだろう。
あの人は世界の中での日本の立場を重視する傾向があるから
日本だけが、空前の株高においても、利上げをせずに、通貨安政策を続けていると揶揄されることを是としないだろう。
トランプ大統領からの提案があれば、前向きに受け止めたと思う。
大統領が、一時的にでも円安にして、日本株を上げることを容認してくれるなら、その後は、株価がバブル時代の水準に回復したのだから、利上げは当然となる手筈である。
もしも二人の間に密約〔円安容認⇒ゼロ金利解除⇒円高〕があるすれば、
これまでは、113円とか115円の手前で、円安牽制発言があったものだが、
この先、115円を超える円安になっても大統領は何も言わないだろう。
たとえそういうツィートがあってもブラフなのだろう。
それどころか、金利差が大きく開くのは好ましくないと、暗に日本の利上げを催促してくるのではないかと思う。
国内のSNSなどでは、
米国が利上げしているので、円安だと平気で流れているが、
過去の事例を見る限りは、そんな単純な話ではない。
むしろ、強烈な円高になったことも多かったのである。
現行のFF金利2%前後は、アメリカのインフレ率2%前後を考えれば、実質的にはほとんどゼロ金利である。
2020年くらいには、FF金利は3%程度で落ち着くらしいが、
それまでに、日本がゼロ金利を解除すれば、どうなるだろうか。
景気最悪のリーマンショック直後(ゼロ金利)でも、日本の長期金利は1.5%はあったのである。
そのあたりを少し考えておく必要があるだろう。